チョコレート工場の秘密
R・ダール Q・ブレイク 柳瀬 尚紀 / 評論社
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貧しいチャーリーがチョコレートを口にできるのは、一年に一度、誕生日の日だけ。
チャーリーの町にある世界一大きくて有名なワンカのチョコレート工場は、皆の憧れの的。
あるとき、ワンカの謎のチョコレート工場に5人の子供が招待されることになった。チャーリーも黄金の切符を夢見て・・・。
児童向けだと思って侮ってはいけません。
チョコレート工場という響きからも、甘い夢いっぱいの物語だと勝手にイメージしていたら、なかなか辛口でありました。
チャーリーが黄金切符を手に入れるまでの話は何とも微笑ましくて、とくに4人のおじいちゃんおばあちゃんとの関わりがとてもいい感じでほのぼのしました。
ところが、チョコレート工場の中に入ったあとは、何だか雲行きが怪しくなり、夢いっぱいの工場なのか、人を食べてしまう恐怖の館なのかという趣に変わり・・・というのはちょっと大げさですが(いえ、かなり大げさです)、ふんわりした空気とはひと味違ってきます。
でも、やっぱり工場のなかはダイナミックな仕掛けが楽しくて、たまらなく、魅力的。なるほど映像化にぴったりです。
辛口だなぁ、と思ってしまう場面も、きっと子供にしたら、これくらいの方がわくわくして面白いのかもしれない。もともと童話には残酷性がつきものだというし。
これを読んだ子供たちが、「我がままはやめよう」とか「テレビを見るのを控えよう」とか「おじいちゃんおばあちゃんを大切にしよう」と改心するかといえば、そんな簡単で甘いものではないとは思うけれど、こういった勧善懲悪の物語は、心の根っこに何かをきっと植えつけてくれると、それが本の力なのだと、そう信じたいです。
実をいうと、「チャーリー、工場のなかで、とくに何もしていなかったんじゃない?」と突っ込みたい気もするのですが、家族思いのチャーリーが夢を手にいれることができた大いなるハッピーエンドはただ単純に純粋に嬉しいものでした。