少し前に読んだ本です。めったに翻訳ものは読まないのですが、気分転換にちょっといつもの路線を変更して挑戦。
分厚さに負けてしまうかも・・・と少々心配で、実際前半少しもたつきましたが、後半は怒涛の展開で、とくに中世の場面は全身を震わせながら興奮しつつ読みました。
ときは、2050年代。キブリンという女子学生は、歴史の研究のため、14世紀にタイムスリップします。どうしても行きたかった中世の時代。やっと希望がかなったのに、キブリンを待っていたのは、予想
もしなかった悲劇でした。
結局、中世の14世紀であれ、タイムトラベルが可能なまでに文明が進歩している21世紀であれ、人がウイルスに脅かされ、翻弄され、大切な人を失う悲劇は避けることはできない・・・というのが読んでいるあいだずっと感じていたことです。確かに衛生的にも劣悪な環境で知識もない中世の時代の悲惨さとは比べるまでもないのですが、交互に語られる中世のペストと未来の新型インフルエンザ、人は無力であるという点が、やっぱりどこか共通するものがある気がして。
ラスト近く、絶望的な状況のなかで、懸命に戦うキブリンにとても感情移入してしまいました。困難に対しあきらめず、逃げずに立ち向かうヒロイン、って私にとって結構ツボだったりします。(原点は戦場のなかを故郷へ逃げるスカーレット・オハラなんですが)こういうヒロインに出会うと、もう無条件にその作品が大好きになってしまいます。
極限状況の辛い描写が続きます。ロズムンドが林檎をかじりながら死んだ場面が私にとっては最も絶望を感じたシーンでした。
中世の重い空気を助けたのが、未来のパートの随所に散りばめられたユーモアです。
とくにプレイボーイのウィリアム青年の活躍はあっぱれ!!
このパートでも大きな悲劇がありましたが、コリンの前向きな明るさで救われました。
そして何より、ダンワーシー教授が落胆し、すべてをあきらめようとしたときに、励まし、勇気付けたコリンの功績は大きい。印象に残ったエピソードでした。
続編も読まなくては!
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